BASEプロダクトチームブログ

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ゆるく楽しくデザイナー間の相互理解を深める 〜デザイナー読書会〜

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明けましておめでとうございます。
BASE株式会社でUIデザイナーをしている野村(@nomjic)です。

外出自粛ムードに拍車がかかる昨今、週末や連休でもなるべく外に出るのを控えたいところですね。
家に籠もって読書して過ごそう、という人も多いのではないでしょうか。

そんなわけで一つ、読書ネタを書いてみたいと思います。
と言っても「連休に読むオススメ本10選」みたいな話ではなく、読書へのモチベーションの高め方とか、習慣化とかに繋がるような話をさせてもらおうかと。

話す内容をざっくり言うと「デザインチームで読書会を始めてかれこれ3ヶ月経ったのでその報告」です。

ちなみに開発チームでの読書会についての記事という記事が先月アップされていますが、あちらに比べてこちらの内容はだいぶゆるいです。
知識や技術を身に付けることよりも、会の参加メンバーが読書を習慣化することを支援するとか、チームメンバー間のコミュニケーションを促進する、といった比重が強めです。

巣篭もりタイムを活用して読書したいけどモチベーションが上がらない、または読書を始めたものの習慣化できる自信がない、といった人の参考になれば幸いです。

経緯

昨年より、弊社では新型コロナウィルスの影響を受け在宅勤務が推奨されており、実際多くのメンバーが自宅にて業務を遂行しています。そんな中で、ある時期から以下のような声がチラホラと聞こえていました。

「リモートワークだとやはりコミュニケーションが希薄になる感じあるね」
「今まで通勤時間が読書タイムだったのだけど、その習慣がすっかり消えてしまった」

リモートワークあるあるですね。
あと、リモートワークとは関係なしによく耳にする話で、デザイナーは活字が苦手問題があったりします。

私はしばらく前から社外での読書会に参加してまして、読んだ本について話しつつ時には脱線して下らない話で盛り上がりながら楽しく会話する、という状況を経験していたので、「じゃあデザインチームで読書会やってみるかな」と思ってチームメンバーに話振ってみたら結構食いつき良かったので企画してみた、というのがデザイナー読書会に至る経緯です。

企画

コミュニケーション活性化とか、読書のモチベーション向上・習慣化とかに重きを置いているので、あまり労力を割かずに読書が苦手な人でもゆるく楽しく続けられる形を目指して考えてみました。

  • zoomを使ったオンライン開催
  • 頻度は週一回、30分〜1時間程度。
  • 一回あたりのボリュームは本の一章分くらい。ページ数で言うと40〜60ページくらい?
  • 各々読んできて、読書会の場では「思ったこと」「わからないこと」等を自由に語る場とする。
  • どのくらいしっかり読み込んでくるかは自由。斜め読みでもいいし、部分的にしか読んでなくてもいい。何だったら目次しか見てなくたっていい。その書籍の掲げるテーマをネタにしてコミュニケーションが発生すればそれでよし

このくらいのゆるい感じで企画をしました。

2つのメソッド

読書および読書会の品質向上のために、2つ工夫をしてみました。

①Kindleのマーカー&メモ機能を活用

私は書籍は基本電子版で読んでいるのですが、本を読みつつ「ここ読書会で話そう」と思った箇所にマーカーを引いてコメントを書き残してみました。(音声入力使うと楽です。)

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語りたかったことを言いそびれないように始めた工夫だったのですが、やってみると「同僚たちと語りたくなるような面白い箇所を探す」という癖がついて、読書のモチベーションが一段階上がったように感じています。

②Figmaを使って会話のメモ取り

もう一つ工夫した点としては、「読書会の記録をどう残すか」です。
楽しく語り合えれば読書会としての目的は達成なのですが、あとから振り返えれたらよりGOODです。とは言えいわゆる「議事録」のようなものを取ると、手間が大きいし場の雰囲気が硬くなってしまいそうです。

ということで、参加者の1人が(というか、仕切り役である私が)読書会中にFigma上にメモを取りました。
書籍内の印象深い箇所とか、面白い発言を書き込んだりします。

一つの画面上にKindle画面で本のページを開きつつ、Figmaでメモを取りつつ、Zoomで皆さんの顔を見つつ... というスタイルをやってみました。
シームレスに本のページ・メモ・メンバーの顔が見えて良い具合でした。

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詳しい記録を残すことは意図していなくて、「どのへんに興味を持たれていたか、どんな話題が出たか」がざっくり残っていれば良し、くらいに考えました。
詳しく振り返りたいなら書籍そのものを再読すればいいじゃない、というスタンスですね。

1冊目 「オブジェクト指向UIデザイン」

そんなわけで、1冊目の題材を選定して読書会を始めました。 読むのは2020年のUIデザイン界ベストセラーであるオブジェクト指向UIデザイン、通称OOUI本です。

日時は月曜11:00〜11:30に設定しました。
月曜の午前という、「いまいち仕事のエンジンかからない時間帯」にゆるい読書会を差し込むことで、良い具合にウォーミングアップになるのではないか、ということを意図しています。

9月後半から11月初旬までの時間をかけてデザインチーム数名で読みきりました。

読書会中に取ったメモ(の一部)は以下のような感じです。

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1冊読み終わってテコ入れ

1冊読み終わった時点で、進め方とか時間帯とか、そもそもこの読書会続けるべきか?という点を再検討するためにKPT会(振り返り会)をしました。

概ね出てきたのは以下のような意見。

  • 記憶の定着に良いし習慣にもなる。続けるべき。
  • 読んで理解できなかった点をちゃんと議論して理解できた。
  • 一回30分は短すぎた。盛り上がってきたあたりで終わる。
  • 進行役は持ち回りにした方が良さそう。(ここまで毎回私がやってました)
  • 進行役がメモ取り同時にやるのつらい。

といった意見を踏まえ、進め方にテコ入れしました。
「午前は苦手だからお昼くらいがいいなぁ」という人もいたので、時間帯も多少調整しています。

テコ入れ1:モデレータ(進行役)とメモ取りの担当を毎回変える。
テコ入れ2:時間を12:15 - 13:00の45分間とする。

次何読もうか会

2冊めに入る前に、読書会の時間を一回使って「次何読みたい?」を語る会をしました。
各々興味ある本を提案し合って、最後にみんなで投票して決めています。
書籍だけでなくブログ記事なども候補に挙がりました。

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2冊め 「デザインの伝え方」

参加者の興味を一番集めたデザインの伝え方を11月中旬から読み進めています。12月末時点で半分ほど読み終えたところです。

時間を午前から昼にずらしたのが好ましかったようで、参加者がいくらか増えました。以前の時間帯では4人前後の時が多かったのですが、今はコンスタントに6〜7人参加しています。

また、仕切り役とメモ取り役を分けたことで、メモの精度も向上したように思われます。
以下、メモの一部を抜粋。

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まとめ(というか所感)

この読書会、割と話題が脱線します。

○章のあたり読んでて、□□の業務の時のこと思い出した」のような発言から始まり、その業務で何があったか、何に困ったか、何が面白かったか、という話になり、気づけば全然書籍の内容と関係ない話題に及んでいたりします。

本の内容についての知識・理解を深めるという意味では好ましくないかもしれませんが、そもそものこの読書会の意図の一つとして「コミュニケーションの活性化」がありますので、我々の読書会においてはこのような脱線をウェルカムとしています。
むしろ、本の内容が呼び水になって各々の業務スタイルやデザインに対する価値観・思い入れといった、普通の雑談ではなかなか至らない深いところまで話題が及んでいるので、結構良い具合に成功しているなぁと企画者である私としては思っております。

そんなこんなで、2021年も読書会をゆるく続けていきたいと思います。