BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

チームを超えた集合知をデザインワークにつなげるトライ

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この記事はBASE Advent Calendar 2019 13日目の記事です。

devblog.thebase.in



こんにちは。UIデザイナーの野村です。

2019年4月にBASEに入社し、主にショップオーナーさんが使う管理画面のUIデザインに携わっています。
デザインワークの下敷きになるようなトライをいくつか行っておりまして、今回はそのあたりの話をさせていただきたいと思います。

[これまでに実施したトライ]
  • 2度のデザイン思考ワークショップ
  • 非デザイナー向けのデザインツール講習会
  • サービスデザインの勉強会で組織デザインについて学ぶ(社外)
  • 開発プロジェクト内での実践(途中)

なぜそんなトライをしてるのか、という話

受託デザインの世界からインハウスへ移行して

私はBASE入社前はデザイン制作会社に勤めたりフリーランスで働いたりしていたのですが、携わった業務はほぼ全て受託案件でした。
業務委託の形で事業会社内で勤めたことはあったものの、インハウスデザイナーとしての経験はとても浅い状態で入社して参りました。

受託での仕事と、事業会社内(インハウス)でのデザインワークには色々と違いがあります。
受託デザイナーをしていると、基本的には「お客さん(依頼者)が提示する情報をベースにモノを作る」という形をとります。
実際のところ、プロジェクト開始段階でお客さんから十分な情報を提示されることは稀でして、追加で色々と調査・検討を行うこととなります。
もらった情報を精査した上で、不足を補うためにお客さんにヒヤリングをしたり、内外への調査を提案し計画したり、技術や周辺事情についての勉強会や講習会を行ったり... などなど、良いアウトプットに到達するための施策を打っていくわけですが、とはいえ基本的には情報収拾と取りまとめはお客さん側で担当することが主で、受託デザイナーとしての自分は「お客さんの情報収拾活動をサポートしつつ、制作に注力する」というのが基本スタンスとなります。
そうなると、情報の深いところまではイマイチ理解が浅いまま納期優先で業務を進行することになったりするのですが、それは「仕方ないこと」と飲み込んできました。

インハウスデザイナーとして仕事をしていると、自ら社内で動いて事業やユーザの深い情報を掻き集めながらプロダクトを作っていくことができます。
マネージャーが取りまとめてくれた情報のみから業務を進めていくことも可能ではありますが、社内の各部署で持っている知見や体験を掻き集めて自ら消化・整理して業務に反映することで、アウトプットの質は目に見えて向上します。大変ではありますが、インハウスデザイナーとして働くにあたっての面白いポイントの1つです。

効率よく、かつ深く情報を共有するには

自ら組織内のナレッジ掻き集めようとした時、新参者は誰がどんな知識をもっているかわからないという事態に陥りがちです。
それらはドキュメントとして蓄積されてたりしますが、全てが明文化されているわけではありません。
また、ドキュメントには文章や図の形で知識を溜めていくことはできますが、そこに各人の想いや体験(ひっくるめてナラティブ、と呼ぶことにします)まで込めるのは難しいです。文章書くの苦手な人も居ますし。

ナレッジは有形(文章・図)化して蓄積可能だけど、ナラティブは無形のまま流動し続けることしかできない、とでも申しましょうか。

そして、ナラティブのようなバックグラウンドを踏まえてないと、せっかくの知識もその真の意味、深い意味が抜け落ちた上っ面だけのものになってしまうことがあります。非常に勿体ない事態ですね。

そんな想いから、部署の垣根を超えて各人のナラティブをそれとなく共有できるような、そんな場を組織内に作れないものか、と考えました。
プライベートなことを掘り下げようというものでなく、仕事やプロダクトについてのナラティブを共有するのが主なので、プロダクトの企画をテーマにしたワークショップをするのが良いかな、という思いに至り、企画と実施をしました。他、非デザイナー向けにデザインツールの講習会をしたり、デザイン組織醸成に関する社外の勉強会に出たり、といったトライをしました。

2度のワークショップ

「デザイン思考を体験するワークショップ」という名目で、2時間程度のショートワークショップを社内で2度実施しました。2回とも、参加人数は10名前後の、小規模なものです。

第1回ワークショップ

まずはやってみよう、ということで7月にパイロット版的な形で実施しました。
内容としては、私が過去に参加した1DAYワークショップを下敷きに、2時間程度の尺で収まるよう圧縮したものです。
いくらかバタついたものの、10名強の参加者には楽しんでいただけたようで、パイロット版としては成功を納めたと思っています。
その時の様子はこちら

第2回ワークショップ

第2回のワークショップは、流れとしては概ね第1回と同じなのですが、第1回での反省点や、いただいたフィードバックなどを踏まえ、かつ段取りのバタついた箇所を整理するなど、いくつかのアレンジをしました。

その時の様子は以下の通り↓

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ワークショップ振り返り

2回のワークショップの後には、参加者からはそれなりにポジティブなフィードバックをいただけました。(「楽しかった」「普段話せない人と話せてよかった」「良い頭の運動になった」など)

90〜120分程度のワークショップをスムーズに進めるための段取りも作れたと思っています。
自身のファシリテーション力向上にもつながり、良いトライができました。

他、ナラティブ共有についてのトライ

「他部署メンバーのナラティブを得る」という主旨からは少々逸れるのですが、以下のようなトライを行いました。

  • 非デザイナー向けの、デザインツール講習会
    これは私が企画したわけではなく、デザインチームメンバーの小山が主導したものなのですが、デザイナー以外へのデザインツール講習を行いました。業務の効率化を意図しての施策ですが、デザイナーから他部署メンバーへの良いナレッジ共有・ナラティブ(デザイナーの作業姿勢とか)共有になったと考えています。

  • 組織ナラティブに関して勉強会参加(社外)
    社外で行われたサービスデザインに関する勉強会にて、組織におけるナラティブ構築に関して整理・発表したりもしました。(この勉強会の影響で、ナラティブという単語を多用するようになった私です。口には出してないけど。)

開発プロジェクトの中にナラティブ収集のフェーズを組み込んでみるトライ

ここまででご紹介したのは開発プロジェクトの外側で実施してきた内容なのですが、現在は「プロトタイプ検証のための社内ヒヤリング」という名目で、プロジェクト初期段階で他部署から意見を収集するフェーズを作ることにトライしています。
単なる意見収集に留まらず、ナラティブ共有の一助になっている、と感じています。

この件についてはまだプロジェクト進行中につき詳しくは書けないのですが、いずれ整理してまた記事化したいと思います。

整理途中のものをチラ見せすると以下のような具合です。 f:id:nomjic:20191212114402p:plain

トライのまとめと今後

業務の傍でいくつか施策をトライしてみました。
それぞれ多くの知見を得られましたが、一方で、拡大していく組織の中で個々のメンバーの想いや体験を収集することの難しさを感じています。デザインワークに本当に役立っているのかは、正直まだよくわかりません。

最後に挙げたデザインプロセスのトライについては、進行中の開発プロジェクトに取り込みつつ試してるため、デザインワークに対してそれなりの効果があることを実感できています。まずはこのプロセスを整理して社内で共有し、トライを重ねていきたい次第です。

ワークショップについても参加者からはポジティブな感想をいただいていますので、こちらも続けていきたい想いでいます。
ただ、これまでに実施したワークショップよりも、もう少し業務との繋がりをイメージしやすいような形のワークショップを行いたいと思っています。
具体的に何かモノ(プロトタイプ)を作って検証するような形をとれたら良いのではないかと思い、現在はプロトタイピングにフォーカスしたワークショップについて学習・研究しているところです。



なんやかんやと、チームを超えて存在(潜在)している集合知をデザインワークに繋げることを意図したトライをしています、というお話でした。最後までお読みいただきありがとうございます。

明日はPlatform Devの金城さんとService Devの小林さんです!