こんにちは!BASE BANK株式会社 Dev Divisionでソフトウェアエンジニアをやっている東口(@hgsgtk)です。先日、7月24日〜7月27日にアメリカ・サンディエゴで開催されたGopherCon 2019に参加してきました。初めてのアメリカ、初めての国際カンファレンスで、初めての英語でのLightning Talkをしてきました。当日の会場の様子も含めてGopherCon 2019の参加レポートをします!参加した結果、やっておいてよかったこと・やっておいたほうが良かったことといった反省点などもまとめます。
GopherCon 2019とは
GopherCon 2019とは、プログラミング言語Go関連で世界最大級の国際カンファレンスです。今年は6年目となり、世界中から1800名弱のGopherが参加したようです。7月24日から27日にかけて4日間開催されました。
BASEでは、カンファレンスへの登壇や参加といったメンバーのコミュニティ貢献活動を積極的に支援しており、今回のGopherConにも業務として参加してきました。
会場は、Marriott Marquis San Diego Marinaというアメリカ・サンディエゴにあるリゾートホテルでした。サンディエゴ国際空港から車で15分ほどの距離にあり立地的にも便利な場所にあります。
会場のホテルはGopherCon一色に染まっていて、エントランスに入ると Welcome Gophers! とGopherCon参加者を迎えてくれます。
会場のホテルに泊まったのですがホテルのルームキーもGopher君が描かれています。
ホテルを出るとすぐ海岸なので、すこし散歩するだけで西海岸のきれいな夕焼けを見ることができます。
1800名弱が参加しているということで、世界中から集ったGoエンジニアがメイン会場を埋め尽くします。
スケールが大きいカンファレンスで25日のWelcome Partyでは、USS Midway Museumという実際に使われていた空母ミッドウェイという航空母艦を博物館にした観光名所を貸し切ってパーティが開催されました。
Lightning Talkでの発表
今回のGopherConでは、募集されていたCFPにうち、25分のKeynote style・7分のLightning Talkの2種類にプロポーザルを提出して、Building API Server-side architecture for beginnersというタイトルのプロポーザルが採択され発表しました。プロポーザルの内容自体については以下のブログで詳細について書いたので興味ありましたらそちらもご覧ください。
GopherConは最終日(7/27)に10時から16時まで一日かけて約30名のスピーカーがLightning Talkに登壇しました。私は朝一の2番目の順番で発表しました。
発表した内容は次のスライドでSpeakerDeckに公開しています。Goプロジェクトのサーバーサイドアーキテクチャを構築する考え方についてまとめたものです。特にGoを業務で採用し始めることを決断した"Beginners"な開発チームがどういうアプローチで取り組むかという視点で話を構成しています。
今回が私にとっては、初めての海外でのカンファレンス登壇で、初めての母国語ではない英語での発表でした。準備したこと・当日の発表について良かったこと・改善ポイントをまとめることは、きっと次同じようなチャレンジをされたい方に有益かなと思うので、ここで整理してみます。
CFPへのプロポーザルを振り返る
今回、Lightning Talkに提出したプロポーザルは以下の3つでした。
- Building API Server-side architecture for beginner <- 発表
- Design considerations for container-based Go applications
- Implementation example of OAuth 2.0 request handler with ensuring testability
この3つのプロポーザルのうち最初3つとも採択いただきました。ただし、1人1トークということで運営の方より選んでいただき今回の発表内容になりました。
今回のプロポーザル提出を振り返って「良かったこと」・「やっておいたほうがよかったこと」は次のようなことです。
良かったこと
Keynote(25min)にもプロポーザルを提出したこと
初めての国際カンファレンスで参加すること自体初めてな私にとって、KeynoteのCFPにプロポーザルを提出して英語で25分話すなど正気の沙汰ではないえげつない一歩でした。それができるほどのレベルの内容じゃないなとも思いました。
ただ、普段のカンファレンスでもそうですが、トークするに足る内容かどうかは採択していただく方々が決めることです。そう考えると、とにかく出してみることにしました。結果的にはKeynoteのCFPでは採択されなかったのですが、よりハードルが高いCFPに対してすでにプロポーザルを出していたので、Lightning Talkには大胆な心でプロポーザルを出せました。
国内で話した実績のある内容
国内カンファレンスのCFPに対しては、今まで話したことがない新規の内容について話すように心に決めているのですが、英語でトークすること自体がチャレンジなので、GopherCon 2019に限っては国内で話した内容を翻訳する形でプロポーザルを作成しました。
これにより、すでに話したことがある分、トークの内容の概要・詳細・構成についてプロポーザルの本文に込めることができました。また、いくつかやってきた過去のトークがあるので、何本か数を出すことができました。
やっておいたほうがよかったこと
締切に余裕を持った早期のプロポーザル提出
今回のプロポーザル提出は、いろいろ他のカンファレンスの発表準備をしているうちにギリギリの提出になってしまいました。ただ、GopherCon2019では早い段階で提出されたプロポーザルに対しては運営からのフィードバックをもらえたようです。たとえば、今回Tutorial style(45min)でスピーカーをされた、@monochromeganeさんは、早期にプロポーザルを提出したことから、運営からのフィードバックをもらいよりプロポーザルの内容・形式をブラッシュアップできたとおっしゃっていました。運営からのフィードバックをもらえるカンファレンスではしっかり早期に出したいなと思います(実際、Go Conference'19 Summer in Fukuokaでは、運営の方からのフィードバックでプロポーザルを見直すことができ非常によい体験でした)。
発表を振り返る
これまで、色々なカンファレンス・イベントで発表してきたのですが、正直な話今回が過去最高に練習しました。実際に次のようなステップで練習を進めました。
- 発表資料作成
- 社内発表練習
- 現地発表練習
発表資料作成
発表資料作成にあたり工夫したことは「話す言葉をスライドに含める」という点です。一方で反省点としては、「スピード感を入れようとしない方がいい」という点です。
話す言葉をスライドに含める
発表資料の作成にあたっては、なるべく話すことをスライドに含めるようにしました。たとえば、母国語でのトークでは流れの中で口頭で補足するような言葉もスライドに入れました。
実際、現地の他の方の発表では、スライドは少なめで1枚のスライドで口頭補足を多く行う発表資料の方が多いです。英語での説明に苦がない方であればこのような工夫はいらないかもしれませんが、英語でのスピーチに不安がある場合には個人的には安心感がありました(いずれこういう工夫をしなくてよくなるように頑張りたい・・・!)。
スピード感を入れようとしない方がいい
一方で反省点として、Lightning Talkだしなとおもいスライド多めな構成にしたことが裏目に出ました。国内カンファレンスでLightning Talkする際はぎゅっと5分で詰め込んでスピードで駆け抜けるタイプの構成でやってしまうのですが、それは母国語だから(ぎりぎり)許されることだと感じました。
母国語じゃない不慣れな英語でやるのは今回の経験上、私はあまりおすすめできません(そもそもそういうスタイルがどうなんだみたいなツッコミもありますよね、過去の聴講者の方々すいません・・・!)。
不慣れな言語を早口で話すと聞き取りづらいですよね。普段、ネイティブの方が話してるのを聞いたときに感じる「話すの早いなぁ」と感じているあの速度で話そうとすると、聞き取りづらくなってしまいます。外国の方が片言の日本語でめっちゃ早口で話してきたらどうだろうかと想像していただくとガッテン行くかもしれません。
実際、一つ現地の方から頂いた感想で「日本人は英語を話すのが早い」というフィードバックでした。自分の想像している速度の0.75倍速くらいで話して、文節の区切りで話も区切るくらいがちょうどいいんだなと実感しました。
言い訳をすると、ゆっくり話すことは意識していました。しかし、意識していても緊張したら早口になってしまうのが人間というもの。その上で資料のスタイルがスピードトーク型だと、緊張との相乗効果が生まれて早くなってしまいます。
ゆっくり話す前提でトーク内容のボリューム・資料構成を考えると丁度いいスピードになるだろうと思います。
社内発表練習
資料が作成できたら発表練習を社内でやりました。普段のカンファレンス発表から練習に付き合っていただいている@nazonohito51さんと、英語が得意なインターンでいらっしゃっていた顧さんに2回ほど時間をもらい練習しました。
不自然な英語や発音・話すスピードなどについてフィードバックをいただき改善しました。
現地発表練習
現地サンディエゴに到着してから、日本人で発表する@monochromeganeさん・@hajimehoshiさん・私の3人と、@go_sagawaさん・@tenntennさんでホテルの一室で発表練習をしました。現地で一回Gopherたちの前で発表しておいたことは「当日もなんとかなりそうだ」という安心感になりすごくよかったです(お付き合いいただいたみなさんありがとうございました!)。
のちに発表者全員の発表を終えたあとに記念撮影しました。
初めての海外カンファレンス参加を振り返る
良かったこと
Gophers slackのGopherCon参加者チャネル
そもそもGopherCon 2019に参加してみたい・登壇してみたいと思ったときに、これまで参加したことがある人・登壇したことがある人が物理的に身近にはいませんでした。そんな迷いを雑にtwitterでつぶやいたところ、@tenntennさんがGopherCon 2019に参加しようか検討している人が集まるslackチャネルを作っていただきました。
Gophers Slackに gophercon-san-19-ja というチャンネルを作りました!
— tenntennʕ ◔ϖ◔ʔ ==Go (@tenntenn) January 10, 2019
このチャネルで参考になる過去採択された方のプロポーザルの内容を共有いただいたり、非常に参考になりました。また、会社の中では一人で参加するわけで不安があったのですが、同じ日本から参加される方とこのチャネルを通じて事前につながっておけるのに非常に心理的な安心感がありました。
海外で登壇する経験
国際カンファレンスで登壇することは、単純に憧れていた一つの目標だったので良かったです。
現地で良かったことしては、会場のエンジニアと話すときに「Lightning Talkでこういうこと話す予定なの」みたいな切り口で会話のネタとして使えました。 また、Lightning Talkをしたことがある方ならイメージ付きやすいと思うのですが 、Lightning Talkの始まる直前ってスピーカー同士で待ってる間待機場所で話したりすることがありますよね。GopherConでも同様に自分の前後のスピーカーたちと話す時間になり結構楽しい時間になりました。
毎日参加ブログを公開して振り返る
カンファレンスで現地にいる間、毎日その日の内容について参加ブログを書いていました。
- GopherCon2019 参戦記 DAY1 (7/24)
- GopherCon2019 参戦記 DAY2 (7/25)
- GopherCon2019 参戦記 DAY3 (7/26)
- GopherCon2019 参戦記 DAY FINAL (7/27)
これは、その日を振り返ってわからないことをまとめたりとか、その日の反省点を言語化して翌日以降の振る舞い方を考えるいい時間になりました。たとえば、2日目に英語力で躊躇してコミュニケーションが取れなかったことを反省して、3日目はとにかくメチャクチャな英語でいいから話すことを心がけるようにしました。
やっておいたほうがいいこと
時差ボケを矯正する一日をおいたほうが良い
今回の会場であるサンディエゴと日本は時差にして16時間あります。私は、カンファレンス中時差ボケで睡眠時間が非常に少なくなり、早朝に前日の参加速報ブログを書くといった生活になってしまいました。一方で、国際カンファレンス遠征に慣れてらっしゃる方々は前々日入りして一日時差を矯正する時間をとっていました。一日英語漬けで技術トークを聞いて会場のエンジニアと交流するのはそれなりに体力を要するので、時差ボケ問題は早めに解消しておくのがカンファレンスでしっかり学びを得るためによいでしょう。
話のきっかけを用意しておく
日本のカンファレンスと大きく異なる点として、参加者同士のコミュニケーションが多いです。
参加者は、日本のカンファレンスのようにTwitter実況するといったことはほとんど無く、直接現地のエンジニア同士のコミュニケーション・ネットワーキングに時間を使っていました。これは、普段のカンファレンスで人見知りでコミュニケーションが苦手な私にとっては、結構衝撃をうけたことでした。
コミュニケーションしていくことにしっかり向き合おうとすると、英語力が云々はとりあえずなんでもいいから話しかければいいとして、その「なんでもいいから」の話のきっかけが思いつかないのが、人見知りが人見知りしている所以のところですよね。
「どのトークが面白かった?」とか「普段はどういうサービスでGo使ってるの?」とか話のきっかけになるような質問を英文セットで考えておくと良いと思います。
最後に
今回、GopherCon 2019に参加して、特にLightning Talkをした経験の振り返りをしました。自分が繋がりを持てると感じられる世界が広がった、そんな感覚を今回のカンファレンスで持てました。行くまでは不安がとても大きかったのですが、終わってみたら「また行きたい!」とそう思える経験になっています。 海外のカンファレンスに参加してみたい・何かしら発表したいと目論んでる方々にとって、少しでも後押しになる情報になることを願います。
また、きっと開催されるであろう GopherCon 2020 にプロポーザルを超自信を持って出せる知見を積み重ねられるように、これからも精進します。では、また、次のGopherConでお会いしましょう!