BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

reportシステムの業務改善で経理業務が更に短縮した話

はじめに

本記事はBASE アドベントカレンダー 2022の11日目の記事です。

はじめまして。CSEグループのエンジニアの泉原と申します。 BASEのCSEグループでは社内業務改善や内部統制の整備など幅広い業務を対応しています。

CSEグループについてはこちらをご覧ください。 devblog.thebase.in

今回は、BASEにおける月初処理の概要とreportシステムの自動化、業務フローの見直しなどの業務改善についてご紹介します。

BASEにおける月初処理・reportシステムとは

月初処理

BASEではJ-SOX対応の一環として、

  1. BASEショップの売上金と決済サービス側の入金データ
  2. BASEショップの売上金とBASE側の決済データ
  3. BASE側の決済データと決済サービス側の入金データ
  4. 決済サービス側の入金データと実際の入金額

これら4点の整合性が取れていることを確認することで財務報告上の信頼性を担保しています。 月初処理は月次でこれらの整合性が取れていることの確認を行うことを指しています。

reportシステム

CSEグループでは上記の月初処理を行うにあたりreportシステムと呼ばれるレポーティングシステムを構築しており、決済サービス側の入金データの取得やBASE上の決済データとの突合(差異調査)を行なっています。

reportシステムの詳細についてはこちらをご覧ください。 devblog.thebase.in

これまでの月初処理の課題

システムの実行手順が複雑

reportシステムではBASEのデータ集計やレポーティングを行い、経理側へ売上データを連携しています。 ただし、最終的に経理側へ必要なデータを受け渡しするまでに、以下のような工程で手動でコマンド実行したりデータを取り込んだりする必要があり、作業者の慣れが必要となっていました。

また、決済によってはreportシステムのDBに決済データが取り込まれるまでにタイムラグがあるため、売上レポートやデータの突合の際に作業者が手動で日付のオプションを指定してPythonコマンドを実行する必要がありました。 こういった手動でのコマンド実行の際に人的ミスが発生する可能性も否めませんでした。

差異調査が複雑になることがある

差異調査とは

月次処理では決済システム側の決済データとBASEの決済データの整合性を確認するために、それぞれの決済データを突合して差異がないかを確認しています。これを差異調査と呼んでいます。

どのような時に差異が発生するか

差異は以下のような条件で発生することがあります。

  • BASEや決済システム側の不具合や特殊な処理による差異
  • 不具合の解消などに伴う返金処理で発生する差異
  • 決済システムにトランザクションが渡るまでのタイムラグによる差異

これらの差異は毎月発生する可能性があり、CSE内で事前に把握できていない差異があった場合、差異の原因の調査に時間がかかることがありました。

どのような改善を行ったか

システムの実行自動化

各決済システムから決済データを取得する箇所に関しては、puppeteerを使ったブラウザ操作で自動化されていましたが、一部の決済に関しては管理画面にログインしてデータをダウンロードしDBにデータを取り込む方式をとっていたため、まずはこちらを自動化できるよう対応を進めました。

また、売上レポートの取得や決済差異の抽出、共有フォルダへの配置など手動で実行していた一連の処理を1つのStepFunctionsにまとめたことで、手動での作業をなくしワンクリックで処理できるようにしました。

差異調査の改善

調査フローの整備

決済の差異が発生するパターンにはある程度決まったパターンがあったため、差異の調査方法をフローに起こし、CSE内で誰でも調査が進められるように対応しました。

また、発生した差異の内、月を跨いで対応が必要なものに関しては、別途シートを作成して対応状況を追える状態にしたことで差異を見失わない体制を作っています。

月初の確認会

毎月差異の確認用のslackチャンネルを作成し、差異として抽出されそうな決済を事前にCSE内で共有しておくことにしました。月末には確認会を設けてCSE内で再度確認することで、差異調査のヒントが得られ調査時間の短縮に繋がりました。

結果

これまで月初処理の際には売上レポートの受け渡しと差異調査を含めて2営業日程度要していました。また、差異調査が複雑になり、CSE総出で時間をかけて調査することもしばしばありました。

改善後は売上レポートの受け渡しは1時間程度、差異調査を含めても半日程度で完結しており、経理側への連携にかかる時間が大幅に短縮されました。また、データを早く連携できるようになったことで、経理側の月初作業も1営業日程度短縮し、決算スケジュール上余裕をもって取り組むことができるようになっています。

最後に

今回の月初処理の改善に関してはCSEグループ内の業務改善でしたが、実際に業務を通じて課題が見えてくることを改めて実感しました。他の業務改善の際にもまずは一度業務を体験して理解することから始めてみたいと思います。

明日は@naoki.munechikaさんと@yuniさんの記事が公開予定です、ぜひご覧ください。