BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

社内でのデータ活用を推進する取り組みの紹介

はじめに

この記事はBASE Advent Calendar 2023の19日目の記事です。

こんにちは!Data Strategyチーム(以下、DSチーム)でデータエンジニア兼データアナリストの @shota.imazeki です。

今回は全社的なデータ活用を推し進めていくために、いくつかの施策を行ってみたので、それらを紹介していきます。その際に上手くいかなかった点やこうすればよかった点なども紹介していきます。「データを整備したけど使ってくれない」といった課題に直面している方々の参考になれば嬉しいです。

結果

まず最初に結果から話していきます。以下のグラフはBASEで使用しているLookerというBIツールのMAU(月次アクティブユーザー)です。昨年の同時期に比べて利用者数が1.5倍以上伸びています!

Looker アクティブユーザー数の推移

「ユーザー数が増えただけでは?」という声も聞こえてきそうなので割合(MAU / その月の全Lookerユーザー数)も一緒に載せています。割合としても50%前後から65%前後にまで上がっています。またBASEの従業員数は276名(2023年9月末時点)なので半分以上の方が毎月Lookerを利用していることになります。

もちろんDSチームで行った施策以外に色々な要因があるとは思っていますが、結果として社内でのデータ活用が昨年よりも進んでいることは事実で、これに関しては素直に喜んでいいのかなと思っています。

施策

施策の方向性としては2種類あります。

  • 全社向け
  • チーム向け

広く浅くが前者、狭く深く進めていくのが後者かなと思っており、それぞれDSチームでやったことを紹介していきます。

全社向け

全社向けに行う施策として意識しているのは、データを見る際のハードルを可能な限り下げることです。難しい技術を扱えるようにするよりも気軽にデータを見れるような環境作り、データリテラシーの向上を目的として施策を実施しています。今回は2つ紹介します。

1. 勉強会の実施

社内のデータリテラシー向上を目的としてLookerやSQLの勉強会を実施しました。Looker勉強会は春から夏にかけて3回、SQL勉強会は秋から冬にかけて5回ほど実施しました。どちらも基礎的な内容になっています。参加人数は回によってばらつきがあるのですが20~40名ほどでBASE全体の1割~2割ほどの方が参加してくれました。

工夫した点としては以下になります。

  • 勉強会の資料を色々な方にレビューしてもらう
    • DSチームに限らず社内で詳しい方や初学者の方に内容を相談したり、レビューをお願いして、勉強会の中身をより良くできるように心がけてました
  • 実データを使って、BASEのデータにも詳しくなる
    • BASEにある実際のデータを使い、よく見られている指標を出すなどして、BASEのデータにも詳しくなれる機会にしました
    • 講義中のクイズや勉強会後の練習問題で実際に手を動かしてもらうことで、能動的に学べるようにもしました
  • オンライン実施且つ録画をすることで、誰でも受けられるようにする
    • 勉強会に都合が合わなかった方、開催当時に入社していなかった方々のためにweb会議ツールの機能で録画をしました
    • 後述するチーム向けの施策において、導入時に見ていただくこともあります。新入社員のオンボーディング時に見るようにしているチームもあるそうです

反省点としては、告知が充分にできなかったことかなと思います。全体Slackチャンネルに投稿しても皆さん忙しかったり、他の投稿に埋もれてしまって見落とすことがどうしてもあります。

実際、以下のような声を聞きました。

そもそも勉強会知らない人多そうな気がしてます・・・

〇〇チーム内でDSチームが勉強会してますよ!!!って布教してたら、知らなくて、感動してくれる人けっこういて・・・

Slackだけだとどうしても見逃してしまうと思うので、各チームのどなたかに宣伝をお願いするのも一つの手かなと思ってます。100%周知は難しいと思うのですが、できる限りニーズのある方々には伝わるようにしていきたいです。

2. 週一の相談窓口の開設

「Looker / SQLカフェ」と題して、週に1回1時間程度、データ関連の相談をなんでも受け付ける相談窓口の開設を8月に行いました。

社内のフリースペース席に張り紙を貼って、そこで相談を聞くというスタイルです。

業務上困っていることやラフな相談、暇だから話を聞きに来たといった方々もいて、相談自体も幅広く受け付けています。実際に来た一例を列挙しておきます。

  • Lookerでこんな数値が見たいけど、どうすれば出せますか??
  • SQLのここについて分からないので教えて欲しいです
  • 勉強会のここについて不明点があるので質問したい
  • ダッシュボードを作る時に意識することや注意点を教えて
  • Looker、何も知らないので教えて欲しい!

その場で解決できるなら解決しますし、時間がかかるものは適切な申請先や参考になるドキュメントを紹介しています。

反省点としては、あまりないと思ってますが強いて言うなら、悩みがない人も参加できる形にしてみたいなと思っています。カフェという名前が入っているので、コーヒーを淹れて誰でも参加しやすくして、DSメンバーと交流する機会があっても面白いかなと思ってます。

チーム向け

こちらは全社向けとは対照的に、特定のチームに参加してデータ活用を進めていくものです。立ち回りとしてはデータアナリストに近いです。

こちらで意識しているのは、最終的にDSチームのメンバーがいなくなってもそのチーム自身でデータを見ていけるような下地を作っていくことです。正直、ここはとても難しくて暗中模索な部分もあります。データアナリストとしてのメイン業務(分析や効果検証など)の部分は本旨と異なるので割愛して、もう一つのメイン業務であるダッシュボード構築時に意識的に取り組んでる部分について紹介していきます。

ニーズに合わせたLookerハンズオンの実施

チームのニーズとしてダッシュボード構築があった時、DSチームが構築するのではなく、チームから担当者を選出していただき、その方に教える形でハンズオンを実施しています。

DSチームが一番Lookerの扱いに慣れているので短期的に見れば、自分たちで作ってしまった方が早いのですが、長期的な目線で考えてこのような形で取り組んでいます。

チームのニーズに合わせてハンズオンを行うので勉強会以上に実践度合いが高くて、大変ではあるのですが効果は高いかなと思っています。

実際の声がこちら。

勉強会も参加したのですが、自分のPJでやりたいことベースの事例で実践を一緒にやっていただいたことで理解度がかなり上がるな~と思いました🙏

〇〇プロジェクトでダッシュボードの作り方を手取り足取り教えてもらったためか、別件でダッシュボード作る時も驚くほど簡単でした!

反省点としては、導入として全社向けで紹介した勉強会動画の視聴をお願いしているのですが、SQLの知識がある方向けのハイレベルな部分の動画がないことです。LookerではLookMLという特殊な言語を使う場面があって、ハイレベルな方にはそこの部分まで担当いただいてます。ただそこの導入については動画が用意できておらず現状DSチームメンバーが直接教える形になっており、少々効率が悪いです。早めに導入資料や動画を作成するか、参考図書を社内に用意したいと思っています。

Slackチャンネルにダッシュボードを定期配信する

要件によって差はありますが、作成したダッシュボードはSlackの各チームチャンネルなどで日次で配信するようにしています。データを見にいくハードルを可能な限り下げるために、社員皆が毎日必ず使うツールからの導線を作っています。

実際、ダッシュボードを定期的に配信することでSlack上でチームメンバーから反応があり、そこから「こういう分析もしてみよう」といった話に発展することもありました。以下に一例を列挙しておきます。

  • 機能リリース直後に利用状況やユーザーの反応をデータから見てみる
  • 各チームのKPIを日次で配信する
  • ある指標が閾値を超えた場合にSlackに通知する

Slackに気軽にデータを見に行ける導線を置くのは、データを見る意識も上がって効果的かなと思っています。

反省点というわけではないのですが、意識の話ではあるので効果が出ているのか分かりづらいという点です。この話だけではないのですが、データを専門的に扱う職業として自分たちの施策の効果はある程度は計測できるようにしたいなと思ってます。

最後に

上記で述べてきた施策や組織的な変化もあり、社内のデータ活用はここ一年で大きく進んでいきました。

またこのような取り組みを行う中で、自分の意識も少しずつ変化がありました。BASE入社前までは自分のスキルばかりに意識が向いてましたが、段々と自分だけではなく組織として分析基盤や分析組織がどうあるべきかに目線が移っていっています。自身初めての自社開発企業だからなのか、BASEの文化がそうさせたのかは分かりませんが、自分にとってはとても良い変化だったと思います。

今後もこのような取り組みをどんどん進めていきたいのですが全体的な反省として、その場の思いつきで動いてしまうことが多々ありました。来年はゴールや理想像をちゃんと考えた上で計画的に取り組んでいきたいと思っています。

最後となりますが、弊社ではデータエンジニアやデータアナリストを募集しております!組織的にも技術的にもまだまだ課題はたくさんあって、とてもやりがいのある仕事かなと思っております!ご興味のある方は気軽にご応募ください!

https://herp.careers/v1/base/xcPuhFCxo4rA

明日は @02 さんの記事です!お楽しみに!!