BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

テキストコミュニケーションによって、ユーザー体験をデザインし、最適化するということ

この記事はBASE Advent Calendar 2021 23日目の記事です。f:id:fujiimichiro:20211222194617p:plain

こんにちは。 UXライターの藤井です。

ふだんは、BASEプロダクト全般におけるテキストの品質を向上させる、UXライティングを担当しています。「テキストコミュニケーションをデザインする」をキーワードに、テキスト版デザインシステムとして「運用ガイドライン」「用語リスト」を作成、タッチポイントごとに担当を分け、最終レビュー担当者をそれぞれアサインし、運用しています。あらゆるタッチポイントにおいて、日々テキストコミュニケーションの最適化を図っています。

トンマナ≠UXライティング

この取り組みのなかで見えてきたのが、こんな2つの課題でした。

  • トンマナ(トーン&マナー)をひたすら磨く作業が、現状のテキストデザインの大半を占めていること
  • 運用ガイドラインがあっても、品質の担保は、最終的にはどうしても属人的にならざるを得ないこと

つまり、たくさんのショップオーナーの皆様が利用するプラットフォームにプロダクトが育っていく課程において、表面的にはトンマナが統一されていることで、一定のテキスト品質は担保されている一方で、UXライティングの本来の役割である「テキストを設計することによって、プロダクトとユーザーのコミュニケーションをデザインすること」、つまり「体験をデザインすること」という本質に、あまり時間を割けていないのでは、ということに気づいたのです。

品質の担保を前提に、本質的な「体験のデザイン」へ

この次なるテーマと向き合うにあたり、必要になると考えたのが、「テキスト入力支援ツール」の導入でした。いくら洗練され磨き上げられた「運用ガイドライン」や「用語リスト」があっても、それはあくまで必要なときに紐解く「逆引き辞典」のようなもの。漢字の閉じ開きや記号、正式名称のBASEルールは、そもそも暗記するような類いのものではありません(さすがに何年もトンマナを整えていると、ほとんど身体に染み付いてはいますが)。あらかじめ定義されたルールに則していないものを指摘し、自動的に修正が加えられたら、あらゆるチームから「プロダクトに反映させたい」と提案されるテキストの品質は、すくなくとも「トンマナ」という文脈においては、その時点で担保されます(もちろん、完璧にではないとは思いますが)。これにより、「体験をデザインすること」ーーテキストのターゲット/目的/ゴールを定義し、情報の構成を設計し、マイクロコピーをライティングする、というプロセスに、さらにていねいに取り組むことができるのではないか、と。

入力支援ツールの導入検討、ガイドラインのアップデート

そのために取るべきアクションは、2つあると考えています。

  • テキスト入力支援ツールの選定と導入
  • 正誤の参照先となる「運用ガイドライン」「用語リスト」のDB化

まずは、現状のプロダクトやレビューフローとマッチするツールのメリット/デメリットの調査と検討。また、導入にあたって、エンジニアチームにどのくらいの稼働が発生するのか。

「textlint」や「文賢」をはじめとして、すでにけっこうな数のサービスがリリースされていて、インターフェースやできることがそれなりに違うので、導入に向けてあれこれ調査しつつ、現在先行して作業を進めているのが、もう1つのアクション「運用ガイドライン」「用語リスト」のDB化です。

BASEがUXライティングというアプローチを取りはじめてからおよそ3年、昨年もご紹介しましたが、ユーザー体験全体を通して語られる、ブランドの理念を反映した言葉遣い(ボイス)、ユーザー体験の各部分における言葉遣いの変化(トーン)のたたき台も形作られ、それなりに育ってきてはいるのですが、「運用ガイドライン」は目的や対象範囲などがまだきちんと定義され、明文化されていませんでした。また、「用語リスト」もレビュワー目線で構成されており、お世辞にも「誰が見てもすぐに活用できる」ところまでは整えられていない状態でした。

テキストライティングの方針を定める

そこで、まずはテキストガイドラインにおける「テキストライティングの方針」、目的を定めました。

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ショップオーナーの皆様だけではなく、これからショップを開設しようと検討している方、BASEのプラットフォームを利用したショップでお買い物される購入者、購入を検討している方をふくめ、BASEのタッチポイントに触れる可能性のあるすべての方を対象に、伴走者としてどんなテキストコミュニケーションであるべきなのか、という観点・視点がベースとなっています。

テキストライティング方針の対象範囲の明文化

また、現段階における「対象とする範囲」「対象としない範囲」も定めています。

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2021年の段階において、プロダクトおよびプロダクトに付随するDBC(管理画面のお知らせカード)、メール、自社メディア(BASE活用方法などの記載された記事)などを対象範囲とし、メディアの属性によって受け取り手がキャッチできる情報や、印象に差分が発生しやすいSNS、広告などは、対象からあえて外しています。あくまでも、ユーザーの行動を促す短い文言「マイクロコピー」および「マイクロコピー」を支える屋台骨としての最低限のテキスト、にフォーカスしています。

正誤が検知できる、DB化されたガイドライン

そして、来たるべきDB化を念頭に、項目自体をあらためて精査、正誤表にすることにより、正以外を検知できるような作りにしました。

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テキストガイドラインとして「漢字・ひらがな」「カタカナ」「記号」「数字・単位・日付」、また用語集として「サービス正式名称」「BASE固有の用語」「用語」、マイクロコピーは用途別に「ボタン・リンク」「エラー・バリデーション」「フラッシュメッセージ・トーストメッセージ」「警告メッセージ」「ダイアログ」と、使いやすく分類し、検索性を高めました。

定形メッセージのテンプレ化による、メッセージ・デリバリーの高速化

さらに、よくある定形のメッセージに関しては、使い勝手を最大化するため、テンプレートも用意しました。

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ウェビナー告知やApp新機能紹介など、ある程度フォーマット化できるものをテンプレート化することで、毎回イチからテキストを起こさなくてもよいように、新しい情報をターゲットに最速でアナウンスできるようになりました。

これから

そんなわけで、昨年同様、すべては現在における仮説でしかないことを前提に、「運用ガイドライン」「用語リスト」のアップデートとさらなる活用策を模索してきた2021年。すべては、BASEというプラットフォームを通して、ショップオーナー様の皆様やお客様の叶えたい願いを実現するために。2022年のBASEにも、どうぞご期待ください。