BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

Docker Desktop有料化対応をするときに知りたかったこと

はじめに

こんにちは。Product Dev Division でエンジニアリングマネージャーをしている@tac_tandenです。

Docker Desktop 有料化の移行期間が終わって約 3 ヶ月が経ちましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 旬の時期は過ぎている気もしますが、BASE 社内で行った Docker Desktop の有料化移行をする中で得た知識や知見を改めてまとめたので、テックブログで公開させていただくことになりました。

有料アカウント購入の運用フローや社内の予算案の作成を担当した当時の自分が、最初から知っていればあんなに苦労しなかったのに!というのを主にまとめています。 なので、想定される読者の方としては以下の通りです。

  • Docker Desktop の有料プランを購入予定だが、どういう基準で選んでよいのかわからない
  • 近い将来、有料プランの購入条件に該当しそうなので、予め準備をしておきたい
  • 新入社員の方の Docker Desktop の有料プランへの追加運用フローをどうやっているのか気になる

それでは、よろしくお願いします!

Docker Desktopの利用が有料になる基準はどこから?

 Docker のプランごとの価格表が掲載されているページの一番下に以下のように書かれています。

Docker Desktop is free to use, as part of the Docker Personal subscription, for individuals, non-commercial open source developers, students and educators, and small businesses of less than 250 employees AND less than $10 million in revenue.

Pricing & Subscriptions

特にスモールビジネスの部分ですが "small businesses of less than 250 employees AND less than $10 million in revenue"とあり、従業員数が 250 人未満かつ年間売上 1000 万ドル未満の企業のみ無料で利用可能と書かれています。 例えば BASE 株式会社は従業員数こそ 250 名以下ですが、年間売上高 1000 万ドル以下には該当せず、無料利用の対象外ということがわかります。

無料対象の企業

  • 従業員数 250 人未満
  • 年間売上 1000 万ドル未満

有料プランは全部で3種類

支払い方法により値段が変わってきます。

年払いをする場合は以下の値段になります。

また、月払いをする場合は以下の値段になります。

Pro と Team だと 1 ヶ月あたりの金額が 2 ドル違います(年間 24 ドル)。さらに、Business だと 1 ヶ月あたり 21 ドル(年間 252 ドル)となり一気に値段が上がります。GitHub Enterprise プランが年間 252 ドルと同じ金額なので、それを意識した値段設定になっているのかもしれません。"Buy Now"の上に目立つように"Contact Sales"のボタンがあるので、問い合わせをしてボリュームディスカウントやサポートなどで値段を調整する前提になっているようにも見えますね。

Team プランでは、年払いの場合は "Start with minimum 5 users for $25."とあり、最低 5 ユーザ分購入が必要ですが、最初の 5 ユーザまでは合わせて月額 25 ドルで利用できることがわかります。 月額 25 ドルなので年間 300 ドルとなり、通常だと 5 ユーザで月額 35 ドルなので年間 120 ドル安く購入できる計算です。

また、月払いの場合の同様の割引があり、最初の 5 ユーザはまとめて月々35 ドルで利用が可能です。

購入数 月払い 年払い
最初の 5 ユーザ合計 35 ドル/月 25 ドル/月
6 ユーザ目以降(1 ユーザあたり) 9 ドル/月 7 ドル/月

※プランの価格は 2022/04/28 現在の価格になります。最新の情報は Pricing & Subscriptions を御覧ください。

プランごとの機能の差

BASE 社内でプランを検討したときに比較したポイントをいくつかピックアップします。

Docker Desktopの利用

BASE での一番の目的が Docker Desktop の利用でした(代替方法がいくつかありますが、それらとの比較は割愛します)。 すべてのプランに含まれているので、プラン間の比較で特に考慮すべき点はありませんでした。

有料アカウント管理

Pro プランの説明には "Includes pro tools for individual developers who want to accelerate their productivity." とあり、基本的には個人向けのプランで、購入も個人毎になってしまいます。対して、Team, Business は組織向け(会社など)のプランで、購入も「Organization」という単位で行われます。Docker Hub の Organization 内にユーザを招待して、有料アカウント枠(シート)に追加できます(GitHub の Organization とほぼ同じ役割ですね)。 会社の開発組織として購入する場合は、一括で管理できたほうが良いと思うので、基本的に Team プラン以上が選択肢になりそうです。

Audit Log

Team 以上のプランで、Organization 内の変更ログを確認できるようになります。

Purchase via invoice

請求書による購入は Business プランのみ対応しているようです。会社として必須なケースがあるかもしれません。

Single Sign-On (SSO)

BASE 社内で検討する際に、一番重要なポイントだったのが SSO でした。SSO は Business プランしか対応していません。SSO は会社として必須になっている場合もあるのではないでしょうか。

弊社の場合、社内のアカウントの管理も担当しているチームと確認し、導入するサービスが SSO に対応していることは現時点で必須にしていないというガイドラインのもと、SSO を理由に Business プランを選択しませんでした。SSO 以外にも細かい部分も含めて議論した結果、まずは Team プランを導入することに決まりました。

※プラン内容は 2022/04/28 現在のものになります。最新の情報は Pricing & Subscriptions を御覧ください。

有料プランの予算を立てる上で考慮したいポイント

ここでは「Team」プランを導入するときに、年間の予算を立てる上で調査してわかったポイントをまとめていきます。

年払い/月払い

まず、年払い or 月払いで 1 ユーザあたり年間 24 ドル差があります。そして、最初の 5 ユーザまでは合算で 25 ドル(月払いの場合は 35 ドル)で利用できるので、計算する場合は少しややこしくなります(年間 120 ドルの差ですが)。

自分は、「最初 5 ユーザまで」のところを読み違い、5 ユーザ毎にディスカウントされると思い予算の計算をしてしまいましたが、120 ドルのディスカウントになるのは最初の 5 ユーザのみで、以降のユーザに対してはディスカウントはないのでご注意ください。

また、Add seats to your subscriptionのページを確認したところ、年払いと月払いのユーザを混在させることはできませんでした。

When you add a monthly or annual subscription, it includes seats for that subscription only.

有料アカウントを増減するときにかかる料金

次に有料アカウント(シート)数の増減の部分を考えていきます。 こちらもAdd seats to your subscriptionを確認すると、追加購入は次回の支払い期日までの日割り按分で支払うことが書かれています。

When you add seats to your subscription in the middle of your billing cycle, you are charged a prorated amount for the additional seats.

そして、チームの有料アカウントは「シート(席)」という概念で、有料席が空いたら別のユーザを紐付けられる仕組みになっています。なので、もし退職者が出てしまった場合でも、使わなくなった有料アカウントを別のユーザに付け替えることが可能です。

逆に解約時ですが、Remove seats from your subscriptionには、解約は次回の支払い時にその分を減額すると記載されていました。

You can manage your Docker Hub subscription anytime by removing seats from your subscription. If you remove seats in the middle of the billing cycle, changes are applied immediately and reflect in the next billing cycle.

上記の要素に加えて、会社の採用状況と今後の人員計画、過去の退職者/利用者の実績から 1 年間に支払う料金を比較して、年払いか月払いを検討するとよさそうです。

有料アカウントに新入社員の方を追加する運用方法

最後に BASE での、有料アカウントの管理方法を共有させていただこうと思います。とは言っても特別なことはしておらず、Google form とスプレッドシートを使ってアカウントの追加や付け替えの管理を行っています。

新しく入社された方に、オンボーディング期間に Google form から利用中の Docker ID を投稿していただくようにようにしています。Google form では回答がそのままスプレッドシートに反映されるように設定できますし、form の管理者は新しい回答がされた際にメールで通知が飛ぶようにすることもできるので、見逃してしまう心配も少ないです。

新しく入社された方がオンボーディング期間に忘れずに申請しなければいけない、という点はまだ改善の余地はありますが、現状は以上のような運用になっています。 ご参考になれば幸いです。

おわりに

Docker Desktop 有料化対応を担当していた当時の自分が、最初から知っていれば苦労しなかったのになあ、というポイントを主にまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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