Feature Dev 3 Group にて Web アプリケーションエンジニア / プロジェクトマネージャーをしている kumar です。
本記事では、Pay ID アプリの運用状況を可視化するページ を開発するにあたり、チーム運営やプロジェクトマネジメントの観点で行った取り組みとその成果についてご紹介します。
プロジェクトを円滑に進めるには、設計や実装そのものだけでなく、「チームがどう動くか」「どう学び合うか」といったプロセス設計も重要だと考えています。
今回は特に意識した3つの取り組み「専門領域の越境・自走を促す情報設計・心理的安全性の構築」についてお話しします。
フロントエンド、バックエンドの垣根を越えた開発体制
フルスタック的な動きができるチームには、メンバー依存によるボトルネックの解消や技術視点の共有がしやすくなるといったメリットがあります。
今回のプロジェクトでは、メンバー全員がフロントエンドとバックエンドの両方を担当できるようにするという事にチャレンジをしました。
メンバーは以前から専門領域を広げたいという意欲を持っていましたが、学習コストやペアプログラミングにかかる時間的負担を考慮し、プロジェクトの進行を優先せざるを得ませんでした。
しかし今回、AIツールの活用によってこれが実現可能となりました。
コード補完や技術解説、リファレンスの探索支援などにより、学習の初動コストが大きく下がり、必要最低限のペアプロだけでキャッチアップが可能になりました。
結果として、チームには「専門外でも、まずは自分でトライしてみる」という意識が根付き、技術領域をまたいだ会話も活発化しました。お互いの理解が深まったことで、役割に縛られないスムーズな連携が生まれました。
Notion の活用で効率的に自走できるチームに
開発スピードを上げるには、メンバーが迷わず動ける状態をどう作るかが重要です。
今回のプロジェクトでは、情報の集約と構造化を担う仕組みとして Notion を積極的に活用しました。
具体的に何をしたか
- スプリント単位のタスクボードを整備
- プロジェクト内外で発生する各会議体に沿った議事録とドキュメントの整備
- 相談の粒度を画一化できるようなテンプレートの用意
必要な情報に誰もが自由にアクセス・活用できる環境を整えたことで、メンバーは迷うことなく効率的にタスクを進められるようになりました。
これにより、チーム内の情報の透明性が高まり、認識のズレや手戻りを最小限に抑えつつ、各メンバーが自律的に動ける状態を実現できました。 結果として、タスクの遂行スピードが向上し、チーム全体の開発効率の底上げにつながりました。
心理的安全性を育む「密な連携」の仕組み
プロジェクトとしては、デイリー・レビュー・レトロスペクティブなどの形式的なイベントを設けていましたが、本質的に重要なのは「本音で話せる空気」と「安心して意見を交わせる関係性」だと考えています。
こうした心理的安全性が、チームの連携やスピード、そして最終的な成果に大きく影響すると実感しています。
今回のプロジェクトでは、チーム内のコミュニケーションをより密にし、安心して相談・共有できる状態をつくるため、以下のような工夫を取り入れました。
具体的に何をしたか
- 仕様確認や相談には、可能な範囲で即レスを意識する(スタンプなどのリアクションでもOK)
- レトロに加えて、メンバー同士で感謝を伝え合う Win Session を設置
- デイリー後に、必要に応じて気軽に集まれる「相談タイム」を設置
中でも相談タイムは特に好評で、「ちょっと話せる場」があるだけで、相談のタイミングが早まり、共有のスピードも上がるといった効果が見られました。
こうした取り組みは、小さな工夫の積み重ねではありますが、結果としてチーム全体の心理的安全性の向上と、開発スピードの加速につながったと感じています。
おわりに
今回のプロジェクトを通して感じたのは、プロジェクトマネージャーの役割はプロジェクトの「調整役」ではなく、チームが自律的に動けるための「環境づくり」だということです。
- 領域の垣根をなくしてメンバー依存のボトルネックを減らす
- ドキュメントを整えて自律的に動けるようにする
- 心理的な安心感と連携の密度を高める
こうした工夫を積み重ねることで、チームに自走する文化が生まれ、結果としてより円滑な開発環境の構築が実現できました。
現在、BASEではこうした価値観を共有し、より良いチームづくりや開発体験向上に取り組んでくれる仲間を募集しています。
もし、少しでも興味を持っていただけた方がいれば、ぜひ採用情報をご覧ください。
今後も、プロジェクトを通じて得た知見を発信していきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました!