BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

SIerからWebサービス企業に転職したエンジニアのリアル

BASE開発担当役員の藤川です。

BASEのYoutube動画で、EC系SIerからBASEに転職してきてくれて4年半を経過したタイミングでの宮村さんにBASEでの働き方についてインタビューをしました。今回は前編と後編の2本立てになります。

前編動画:スタートアップの成長過程の風景について

www.youtube.com

2017年に転職してきて、今では技術責任者と呼ばれる開発プロジェクトの設計や技術責任を牽引する役割を担ってもらっていて、SIerからスタートアップに転職したリアルな話を聞いてみました。

動画の中で思い出のプロジェクトとして携帯キャリア決済の実装についてお話いただきました。当時のBASEはクレジットカード決済、後払い、銀行振込等は実装されていて、そこに携帯キャリア決済が実装されました。

キャリア決済を実装したことがある人ならわかると思いますが、相応に決済フローが複雑で情報もわかりにくい上に3キャリア毎に挙動の癖があります。実際リリースした後に、想定しないタイムアウトエラーが発生したり、フロー制御にも気をつけなくてはいけなかったりしました。しかし、先方の実装が見えるわけでもないし、相手は超大企業ということもあり、開発ドキュメントの理解力が問われます。

また、SIerや受託出身の方は開発ドキュメントの作成や管理に慣れているので、当時、まだまだスタートアップ初期の内輪な状態から人数も増え、いわゆる組織として変化させていく中で、ドキュメント整備を通じて開発ナレッジの整理を自然としてくれていたというのが印象的でした。

よくスタートアップとSIerを比較した時にドキュメントが整備されていなかったり、いろんなことが曖昧であることが転職するメリット・デメリットとして挙げられることがあります。

とりわけ初期のスタートアップでは、明日をも知らぬフェーズで仕事をしていく必要があるわけで、実装面、ドキュメント面共々、5年後10年後を見据えた活動をしているよりは、今を生き抜くことが優先されます。

しかし、ある程度サービスが成功し安定成長を開始してからは、人材採用は未来を作るための最重要課題となり、常に実装力、ドメイン知識に関する初心者の方が毎月入社してくる流れにシフトします。それ故に、先輩の方々からドメイン知識や実装に関する情報が適切に共有されていく流れは重要です。

今回はそういうところでの心構えなども聞いてみました。

大手企業に新卒で入った人たちは、各社のドメイン知識を吸収し成長をお膳立てされるプロセスが当たり前に存在しています。入社後数年は昇給が横並びの大企業も少なくないですが、その間は教育期間として考えられていることが理由だと思います。

しかし実際に企業が急成長するタイミングを目の当たりにすると、そういうことが当たり前に存在するのではなく意図して作っていくものだということを再認識されられます。それがスタートアップが大きくなっていく時に必要とされるスキルです。

後編動画:リモートだからこそ重視されるアジャイル設計

後半の動画では、BASEの現状の開発状況についての話を聞きました。

www.youtube.com

その中でも昨今のリモートワーク下での新入社員の適切なオンボーディングは非常に重要な課題です。まだ心理的安全性も適切に構築できてない状態で、オンラインコミュニケーションを強制されるコロナ禍において、入社いただく方に如何に馴染んでもらって活躍いただくかを常に注視しています。その中で設計や開発プロセスに業界標準のノウハウを取り入れているという話をしました。

開発はGitHubフローを活用していますが、設計面でもドメイン駆動設計、アジャイル開発などと言ったノウハウを我々も導入しています。組織としては、まだまだ試行錯誤中ですがプロジェクト毎にチャレンジをしている状況です。

このような勉強会も随時行っています。

devblog.thebase.in

スモールチームだったショップが成長し続けることにしっかりついていく

群雄割拠のEC支援事業の市場でBASE社が存在し続ける理由としては、個人やスモールチームにフォーカスした機能を提供することでビジネスが成立するんだよという、それまで言語化されていなかった独特な領域に市場を見出したことだと思います。そういった初心者にも使いやすいサービスはこれまでいくらでもあったにも関わらず、そこに特化した意思決定を続けてきたことがBASEが成長した鍵だと考えます。

一方で、BASEで成長したショップさんがBASEの機能では物足りなくなって別のサービスに移動されてしまうということは避けなくてはなりません。EC市場の中で、「お店を作ってみたい」という入り口を押さえているからこそ、成長したショップさんがずっとBASEを使い続けていただくというのは最重要課題として、常に存在し続けています。

BASEのプロダクトデザインとしては初心者の方がすぐにお店が作れますというシンプル性を担保しつつ、成長したショップさんが使い続けることができる機能やスケーラビリティを提供し続けるという部分で、ある種の二律背反的な要素も存在します。宮村さんがインタビューで話しているように、実は以前の方が限られたリソースの中で割り切ったデザインをしていたのに対して、最近は、大きくなったショップさんの組織構造等も踏まえて、しっかり全体を考えていくことが求められており、それらを担保し続けられる人材が不可欠です。

もちろん、それは当社の開発経験の中で培っていけばよいので、これまでのBASEがどのようにサービスを成長させてきたかをしっかりトランスファーしながらになりますが、そのようなドメイン知識を通じてBASEの作り手として活躍する人をもっと増やしていかないといけません。

エンジニアの働き方はBASEの成長を生み出すことと連動する

今回、改めて宮村さんと話したことを反芻してみると、中途採用である個々人がこのチームに投入されるノウハウというのが、BASEというサービスの成長の中でうまく溶け込んでいるということを再認識させられました。

我々はまだまだ発展途上のチームであり、一人ひとりの経験が新しい視界を生み出すことに繋がります。開発のプロセスにおけるアジャイルの導入も決してCTOのビジョンで先導したのではなく、それの先導者がいて、フォロワーとしてついていく人たち、それぞれの前向きな姿勢があってこそできていることです。CTOがやったのは、そういう人達の考え方を聞き、開発の進め方としてオーソライズしたということです。

一人ひとりが有名な人とか、そういう人たちを優先する採用はしていなくて、このチームを全体で良くしていくんだという期待が持てる人しか採用していないので、是非、一緒に成長していきたいという人がいたら、是非、お話させてほしいです。