この記事は BASE Advent Calendar 2021 の7日目の記事です。
話題の「メタバース」を体験したい
こんにちは、BASE株式会社でデザイナーをしている渡邊です。
最近なにかと話題になっている「メタバース」。『コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのこと(Wikipediaより引用)』だそうで、オンライン空間で色々な活動ができることを想定しているそうですね。
私もVRには以前から興味があり、先日ついにOculus Quest2を購入しました。プライベートで音楽ゲームや釣りゲーム、VRSNSを存分に楽しんでいます。 特に仮想空間で色々な人とコミュニケーションを取る体験は最高に楽しく、「一度こっちの世界にハマったら戻れない」と言われる理由を痛感しています。
コミュニケーションがこんなに盛り上がるなら、仕事にも活かせるんじゃないか?というわけで、実際にVR仮想空間上でお仕事をしてみました!
VR空間でデザイン相談会はできるのか?
同じデザインチームでVR環境を持っている人がいないか聞いたところ、Oculus Quest2を持っているメンバーが1人いたので、VRお仕事実験に協力してもらうことにしました。
デザインチームでコミュニケーションが必要なお仕事と言えばもちろんレビューです。 弊社ではデザインのフィードバックを気軽にもらってブラッシュアップする会のことを「デザイン相談会」と呼んでいます。
いつもはZoomと画面共有を使ってやっていますが、仮想空間ならより捗るのでしょうか...?
「horizon Workrooms」でチームメンバーに会ってみた
今回利用した仮想空間ツールは「horizon Workrooms」。最近Facebookから社名変更したMeta社の提供するオンライン会議ツールです。
リモートでも直接会っているような体験が得られるそうですが果たして...
あっ!!いた!!!!
今回協力してくださったチームメンバーのnomuraさんが、仏のような穏やかな顔(退席状態)で目の前に現れました。
音声が入らないトラブルがあったものの、なんとか仮想空間に集合することができました。リアルタイムで動くメンバーが視界に入ると、本当に「いるな...!」という実感がありました。私の手の動きも細部までVR化。けっこう感動します。
意外と快適!仮想空間でのデザイン作業
「horizon Workrooms」ではPCの画面をVR空間上にミラーリングすることができ、ヘッドセットを外さなくてもPCを操作することができます。 コントローラーを使わずに手のジェスチャーのみで操作できるようになっており、UIも丁寧に設計されています。
また、現実世界の手元のデスクの映像がモノクロで表示されるため、キーボードやマウス操作もちゃんとできます。入力のラグもほぼなく、ストレスは感じませんでした。 手元カメラの画質は荒いので、タッチタイピングができないと少し厳しいかもしれません。(録画映像には表示されないようで画像では真っ黒になっています)
録画のキャプチャなのでこの記事の画質はやや荒いのですが、実際に私が見た映像では画質が想像以上に高く、画面の小さい文字も問題なく読むことができました。 画面を大きく共有することもできるので、快適でした!
トラブル発生と仮想空間故の移動の手間
が、ここでメンバーにトラブルが発生...。デスクトップのミラーリングがうまくいかなかったようです。 手元のPC画面が見れないので、画面共有の目の前に立ち一緒に見ながらフィードバックをもらうことに。
ホワイトボードや画面共有の前に立つには、現実世界で実際に席を立ち、別の方向に向かい直す必要があります。 画面共有前に立っている間はPCの操作ができないので、FBをもらうたびに席に戻る手間が発生してしまいます...。この手間がけっこうめんどくさく、「現実ならすぐなのにな」と思わざるを得ませんでした。
VR空間上で感じたメリット
VR空間でレビューをはじめてすぐは「正直zoomとあんまり変わらないな...」という感じだったのですが、ある程度動作に慣れ見る余裕ができたとき、相手が傾聴姿勢なのがすごくリアルに伝わるのがとても嬉しかったです。
今回のツールでは顔の表情まではトラッキングされないのですが、体の傾きや身振り手振りだけでもなんとなく内容へのリアクションが伝わってきました。(気のせいかもしれませんが)
ホワイトボードの前に立ち、説明した後振り返って「ここまではわかりましたか?」と確認するコミュニケーションがスムーズにできました。
画面共有とビデオの場合、この「ここまではわかりましたか?」のやりとりで反応が返って来ずちょっと寂しい思いをしたこともあるのですが、こちらを注視して、軽く頷いてくれるだけで聞いてくれている実感が得られるのはVR空間上ならではのメリットだなあと感じました。
現実世界の自分の体問題
VRを30分以上続けていると、ヘッドセットの重みでじわじわと頭が痛くなったり、怠くなったりしてきました。 チームメンバーのnomuraさんは、おそらく視力?の問題で、終始画面がややぼやけていたそうです。 仮想空間では没入感ある体験ができますが、こういったリアル体力の問題で目の前のことに集中できず、だんだん注意力が散漫になっていきました。
またVR特有の問題で目の前でチームメンバーの挙動がバグるという現象が多発し、真面目な話をしていてもどうしてもウケてしまいます。
私も一定時間腕が3mぐらいに伸びていたそうですが、それに気付かず熱弁していたため、話がひと段落着くまでnomuraさんは静かに耳を傾けてくれていました。VRで仕事をするには新時代の大人な対応が必要になってくるのかもしれません。
まとめ
VR空間でデザイン相談会はできるのか? 今回の検証の結果「できないこともないが、まだ早い」という印象でした。わざわざやるほどではない...。現実快適すぎ...。というのが正直な感想です。
自分1人が気分転換がてらVR空間で作業をすることは問題なく出来そうでした。ぽつんとPC画面だけがある環境に放り込まれるので、サボりようがないのも良いです。
しかしながら、複数人で作業をするとなると急に難易度が上がります。 チームメンバーが全員万全の環境を整えない限り、ストレスなくコミュニケーションを取ることはできなさそうでした。 もしツールの機能をフル活用できたとしても、ヘッドセットの重さがある以上長時間の会議は難しいと感じました。
ただ、ハード面・ソフト面どちらもここから順当に進化していけば、近いうちに同僚と本当にオフィスで働いているような体験が出来そうだという可能性も感じました。
今回の体験からメタバースの最前線はどうなっていくのかさらに興味が強くなったので、未来に期待しながら引き続きVRに触れ続けたいと思います!
明日のアドベントカレンダーはエンジニアの横山さんです!お楽しみに!