はじめに
この記事はBASE アドベントカレンダー 2023の22日目の記事です。
こんにちは。 Communication Design Groupデザイナーの藤井です。
プロダクトをはじめ、LP、メール、またイベントや営業資料など、直接間接を問わずBASEのテキストコミュニケーション全般のユーザー体験を向上させる、UXライティング/コピーライティングを担当しています。
「テキストコミュニケーションをデザインする」をキーワードに、テキスト版デザインシステムを構築・運用し、あらゆるタッチポイントにおいて、ターゲット・目的・ゴールにもっとも最適化されたテキスト体験を設計、デザインしています。
テキスト品質担保施策の実施から見えてきた、次の課題
これまで、トーンオブボイスを策定したり、ガイドラインを構築したり、テキスト入力支援ツールを開発したりと、テキストの品質を担保するためのさまざまな取り組みをおこなってきました。
そのなかで見えてきたのは、こんな課題でした。
- 組織の拡大にともなうPJの増加により、テキストレビュー/UXライティングの合計時間はそれほど変わらない
- テキスト体験の設計ナレッジの共有による、プロダクトチーム全体のテキストコミュニケーション力のボトムアップが必要
テキスト入力支援ツール・textlintの導入、運用開始により、たしかに本質的な体験のデザインに多くのリソースをかけられるようになり、飛躍的にBASEのテキストコミュニケーションは向上しました。
一方、BASEのプロダクトもオーナー数、また組織が急拡大するなか、テキストレビュー担当者のリソース自体は急に増えるわけではなく、結果としてまだまだレビュアーの属人性に拠っているのもまた現実なのです。
UXライティング力の組織全体におけるボトムアップが必要
では、この課題に対してどのようなアプローチが有効なのでしょうか?
私たちは、テキストをコミュニケーションに用いるBASEのすべてのメンバーに、UXライティングのもっとも本質的な部分、「相手にことばを届けるためのコツ」をシェア、活用してもらうことによる、全体的なボトムアップを図ること、と考えました。
そしてそれは、ターゲット・目的・ゴールにもっとも最適化されたテキスト体験の設計・デザインのためのメソッド(方法論)、つまりUXライティングの本丸にほかなりません。
かくして2023年は、社内LTへの登壇、ワークショップの実施、ライティング駆け込み寺とそのまとめメソッドの共有など、とにかくシェアに明け暮れた1年でした。
取り組んだ、3つの手法
今回は、その取り組みの一部をご紹介してみます。
1. 社内LTへの登壇
まずはプロダクトチームに限らず、会社全体に向けて実施させていただいたLT、「BASE、UXライティングの流儀」。
そもそもユーザー体験のよい日本語とは、
- 意味がわからず、モヤモヤさせない
- 不愉快な思いをさせない
- どうすればいいか、すぐわかる
つまり「相手を思いやる気持ち」をことばに込めることであり、気持ちよくコミュニケーションするための作法であるということ、それはプロダクトのタッチポイントに限らず、生きていくなかで誰にとっても基本となるたしなみ、であることを発信。
その上で、BASEのことばがよりどころとしている3つの信念(Principle)、
- シンプル&プロフェッショナル →誰でもわかる/誰でも満足できる
- オーナーシップ →自分らしいまま自信が持てる
- 全員、使える →リテラシーフリー
を共有し、だからこそ自分ごと化してもらえる、行動してもらえる、ということをお伝えしました。
2. ワークショップの実施
そんな信念を実際にテキストに落とし込むためのメソッドを、ワークショップで実践。
書き方の基本5か条、
- とにかく短く、簡潔に(一文一義)
- 語りかけるように
- 何ができるようになるのかを伝える
- いい感じのさじ加減の丁寧さ
- 何が起きたのか、何をしたらいいのかを伝える
をシェアしてから、テキストレビュー担当者がおこなっているテキストレビューに、実際に挑戦。
お題のテキストのターゲット/目的/ゴールを書き出し、そのターゲットに向けた言葉使いで、どうすればこちらが描いたゴールにつながるか考え、文章を整える作業を体験してもらいました。
3. オープンテキストレビュー・ライティング駆け込み寺の開催
また、毎日14:00〜14:30にはオープン・テキストレビュー/ライティング駆け込み寺も開催するように。
さまざまなチーム、PJから日々依頼いただいているテキストレビューを、画面を共有してライヴで実施しつつ、「割り込みで急ぎのレビューを依頼したい」「どうやって書けばうまくまとまるのかわからない」「イチから書いてほしい」などの、テキストにまつわるお悩みを解決する、駆け込み寺をオープン。
たとえば、
- 「『こちら』の禁止」 →「こちら」では、何を指すのかわからない。読み手の行動に齟齬がないよう、遷移先ページタイトルからテキストリンクさせる
- 「句読点がリズムを作る」 →人はアタマで音読している。息継ぎできるよう句読点を活用すると、読み心地も上がる
- 「総量を明示」 →先に「◯つのコツ」と言われると、「それくらいなら読めるかな」という心理になって向き合ってもらいやすくなる。オススメは人間の脳の特性上、3がいいと言われる
など、テキストガイドラインではわからないレビュワーの視点・メソッドを、実際のテキストのビフォーアフターを見ながら詳らかにすることで、より体感してもらえるようにしています。
おわりに
2023年11月に11周年を迎えたBASEは、ありがたいことに、200万を超えるショップオーナーの皆様にお使いいただいているプラットフォームに成長いたしました。 BASEのテキストコミュニケーションをデザインする取り組みは、その効果測定、アップデート、最適化はもちろんのこと、コピーライティングの分野でも最高のユーザー体験をデザインできる組織へと進化してまいります。
すべては、「最小の力で、最大の成果を出す、ネットショップ作成サービス」でありつづけるために。 そして、「多くの進化と改善で、ショップオーナーの皆様の成功を後押し」するために。 2024年のBASEにも、どうぞご期待ください。
さて、明日のアドベントカレンダーは @Ren Ogaki さんです! お楽しみに。