BASEプロダクトチームブログ

ネットショップ作成サービス「BASE ( https://thebase.in )」、ショッピングアプリ「BASE ( https://thebase.in/sp )」のプロダクトチームによるブログです。

CSお問い合わせ対応を当番制にして運用してみた話

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この記事はBASE Advent Calendar 2020の10日目の記事です。 devblog.thebase.in

はじめに

こんにちは、BASE株式会社 ServiceDevセクション マネージャーの菊地です! サービスの急成長に伴って組織の拡大が急務であり、最近は採用活動に専らコミットメントしています。BASEに興味ある方はお気軽に私までご連絡ください!

さて、BASEでは120万を超えるショップオーナー様と多くのユーザー様にご利用いただいており、日々多くのお問い合わせを頂いております。基本的には弊社カスタマーサポートチーム(以下CSチーム)が一次受けして回答しているのですが、CSチーム内で回答できないものについては開発チームに依頼がきて調査/対応しています。

採用活動を行う中で他社のエンジニアと話す機会が多くあるのですが、「CS対応の運用がうまくいかない。一部のメンバーに負担が集中してしまう」といった悩みを持っている会社さんがとても多いようです。一方「BASEではCS対応を当番制にしたらうまく運用できています」とお話しすると興味を持って頂けることが多くあり、弊社のCS対応に関する知見を共有することは一定の需要があるのかなと思い、アドベントカレンダーのネタとして採用しました。

CS当番制導入以前の対応について

開発チームへのお問い合わせ対応依頼は1日あたり10数件程あります(11月23日~12月4日のデータを集計)。すぐに回答できるものもあれば、不具合が発覚し不具合修正に1日かかってしまうケースも少なくありません。 当番制導入以前はSlackにある #CSお問い合わせ対応チャンネル(弊社の全エンジニア約60名がジョインしています)において @here で全エンジニアに対応が呼び掛けられていました。

しかしどのエンジニアもメインのPJの機能開発で忙しいため、こういった日々の突発的なお問い合わせの対応を行うことは各々の主体性に期待しているだけではなかなかうまくいきませんでした。@here のメンションが飛んできても誰も反応しないということが多々あり、結果的に人一倍当事者意識の強いCTOやテックリードに対応の負担が集中してしまうという状況が起きていました。CTOやテックリードには彼らにしか解決できない難しい課題に取り組んで欲しいので、毎日数時間をCS対応に費やす状況は好ましい状況ではありませんでした。

そこで課題を解決するべく、今年の4月頃から全開発組織を巻き込んでCS当番制を導入してみようということになりました。

CS当番制の仕組みについて

「CS当番に期待されていること」、「お問い合わせの対応フロー」等は社内のドキュメントに明文化してあり、CS当番が選出されるたびにメンバーを集めて読み合わせを行い認識のすり合わせを行っています。 仕組みの大枠の部分はエンジニアリングマネージャ(以下EM)とテックリード(以下TL)陣で議論して決めましたが、運用が始まってからはメンバーからの改善案も多く取り入れています。取り入れた案についての具体的な事例は後ほど紹介します。

下記にドキュメントから一部抜粋して弊社のCS当番制の仕組みについて紹介します。

CS当番のメンバー

  • CS対応に責任を持つメンバーを毎週全開発チーム(バックエンド, フロントエンド, SRE, DS, etc)から1人以上選出して @CS当番 というグループを作成します
    • 当番の人数は大体10人弱くらいになります
  • 担当期間は1週間です
    • 開発チームは各チーム6人程度なので大体1.5ヶ月に1回当番が回ってくるペースになります
  • 全体の指揮(決起会、振り返り会の開催、改善案の採用など)はEMが行います

CS当番に期待されていること

  • 当番の週はCS対応を優先に行うこと。本来の業務に専念したい場合等は上長に相談して当番の週を変更してもらいましょう
  • ボールを持った人が必ずしも調査/対応を行う必要はありません。難しかったり、忙しかったりした場合は他のメンバーや上長にヘルプを求めましょう
  • 一部の人に負荷が集中しないように、みんなで協力して対応しましょう
  • お問い合わせ対応を通してBASEのサービス&システムの理解を深めていきましょう
  • 月曜日に決起会、金曜日に振り返り会を行い改善していきましょう

お問い合わせの対応フロー

  • @CS当番 のメンションがきたら対応をお願いします。
  • メンションがきたら5分以内の反応を心がけましょう。
  • 絵文字で反応だと調査に取り掛かっているのか分からないので「確認します」のように一言書いてボールを持っている人が誰だかはっきりと分かるようにしましょう。
  • 1問い合わせにつき1スレッドでやりとりを行いましょう。
  • 問い合わせの回答が得られたら の絵文字をCSメンバーに入れてもらいましょう。
  • 調査/対応したことはドキュメントにまとめて知見を貯めていきましょう。

運用していく中で改善したこと

当番制を導入後、メンバーから上がってきた多くの改善案を取り入れてきました。上記の対応フローの中にもメンバーから上がってきた案が多く含まれています。ここでは案を取り入れるに至った背景なども含めていくつか紹介させていただきます。

決起会・振り返り会を行うことでチームの結束力を高める

CSお問い合わせは自分が詳しくない領域のものも多くあるので、自分以外の当番のメンバーが「どういった領域が得意な人たちなのか」を把握していることはコミュニケーションをとって円滑にお問い合わせ対応を行う上でとても重要です。 一方で最近ではフルリモート下で入社してきたメンバーも多く、彼らにとってはもはや「話したこともないし、見たこともない」メンバーとの連携が求められることになります。さすがにこれを新入社員のコミュニケーション能力でカバーしてもらうことを期待するのは酷なのではないかという課題感がありました。

そういった課題感を感じていたときにメンバーから、「当番がスタートする月曜日に決起会を行い、そこで自己紹介や得意な領域等に関する共有を行うようにし、金曜日には振り返り会としてCS対応を行ってみて感じたことや改善案などを話し合う場を設けるようにしたらメンバー間でコミュニケーションが取りやすくなるのではないか」という提案があり、取り入れてみることにしました。

決起会・振り返り会を行うようになってからは新入社員に限らず、古くから在籍しているメンバーからも「コミュニケーションが取りやすくなり、お問い合わせ対応を協力して行いやすくなった」という声があがっています。

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決起会の様子です。本記事を書くにあたって久しぶりに参加したら好きな動物について紹介し合っていました。この画像の中だけでもフルリモート下で入社してきたメンバーが5人もいます。

「誰がボールを持っているか」を明確にする

CS対応は1つの「コト」に対して多くの「ヒト」で向き合っているので、「誰が何をするのか/しているのか」が明確になっていると、状況の進行に対して安心感を付与させられると思います。1番不安なのは「ボールが宙に浮いて誰も手を付けていない」という状況です。その他にも、「全く同じことを調べていた」「複数人で別個に調査資料をまとめていた」というのも勿体ないです。

そういった課題感を感じていたメンバーから、「調査に取り掛かる際は「確認します!」のようにはっきりと宣言して、ボールを持っている人が誰だか分かるようにしよう」という提案があり、対応フローの一つとしてルール化しました。

ルール化して以降は 「誰がボールを持っているか」が把握しやすくなったため、「あの人がボールを持ってくれてるから自分は他の問い合わせの調査をしよう」「ボールを持っている人のフォローとして私に何か出来ることはあるか」などそれぞれのメンバーが自分が今何をすべきかを理解し、チームとして効率的に動けるようになったと感じています。

1問合せにつき1スレッドで対応する

BASEではスレッドの運用について明確にルールはなく、CS対応についても人によってチャンネルとスレッドでやりとりが混在していました。それによって次のような課題がありました。

  • 複数の問い合わせのやりとりが、#CSお問い合わせ対応チャンネル 上に混在しているのでやりとりを追いづらい
  • 各お問い合わせの対応ステータス(解決済みなのかどうかなど)が追いづらい

そういった課題感を感じていたメンバーから、「スレッドでやりとりするようにルール化すれば、問い合わせ元のメッセージに対して「 」などと絵文字を入れておくだけで、状況の把握が容易になるし、「どの問題が発生中・進行中なのか」について、チャンネルを開くだけで判然とするようになるのでは」という提案があり、対応フローの一つとしてルール化しました。

ルール化して以降は下の画像のようにお問い合わせが解決したかどうか、一目で把握できるようになり非常に見通しが良くなりました。

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過去の類似のお問い合わせや関連する社内ドキュメントを自動的に取得する

過去の類似のお問い合わせや関連する社内ドキュメントを見つけることができれば容易に解決できるパターンがそれなりに多かったため、DS(機械学習)チームのメンバーがそれらを複数件自動取得してくるシステムを自発的に作ってくれました。これにより調査がしやすくなりました。こちらについては明日のアドベントカレンダーで詳しく紹介させていただきます。

その他

その他にも「調査/対応した際はドキュメントを書くこと」をルール化したり、「誰に相談したら分からないときに相談できるチャンネルを作成」したりなどメンバーからの改善案を多く取り入れてきました。今後もさらに改善を積み重ね、より良い運用を行っていきたいです。

CS当番制を導入して良かったこと

  • CS対応を当番制とすることで責任の所在や期待されていることが明確になり、BASEの全エンジニアがお問い合わせ対応に取り組むようになりました。
  • 導入前、一番課題に感じていた一部のメンバーへ負荷が集中するという問題が大きく軽減されました。
  • コミュニケーションが不足しがちになる昨今のフルリモート環境下において、決起会や振り返り会を行うなどチームを超えて協力し合うことでコミュニケーションの活性化に役立っています。
  • お問い合わせ対応を通して普段馴染みのない領域の調査を行うことでBASEの幅広いサービス理解・システム理解に役立っています。
  • 新入社員がBASEに馴染むためのオンボーディングとしても役立っています。

まとめ

以上、CS対応を当番制にしたらうまく運用できていますという紹介でした。少しでも参考になれば幸いです。 今後も改善を積み重ね、より早くお問い合わせの返信ができるように体制を整えていきたいと思います。

明日は、DSチームの粟村さんです!お楽しみに!ばーい!

※ 文中で用いている #CSお問い合わせ対応チャンネル@CS当番 という名前は事実とは異なります

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herp.careers Webアプリケーションエンジニアは主体技術はバックエンド実装ですが、サービスを作る時にフロントエンドも書いています。

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開発プロジェクトにおけるフロントエンド実装と、BASEのフロントエンド実装におけるライブラリや実装技術の守り神を担います。